今後の公共経営はどのように変化する必要があるのか。岡山県真庭市を事例として
公共経営にはNPGが重要
昨今の公共経営では、NPG(New Public Governance)が重視される。
NPOや企業、市民が積極的に行政に関与し、
行政もこれを支援することで地域社会の活性化を図るのだ。
これは今後、社会の中でさらに推し進めていかなければならない。
公共経営の変遷
もともと公共経営のあり方は、公共管理(PA: public administration)、新公共経営(NPM: New Public Management)、 新公共ガバナンス(NPG: New Public Governance)と、時代とともに主に3つの考え方を辿ってきた。
PAでは、官僚制が主導する。ガイドラインが重視され、政府機関の官僚組織が安定した行政の運営を行うことが可能であった。
そのため経済規模が拡大するなかで大きな効果を発揮した。
しかしそこには意思決定の遅さなどの問題があり、NPMという考え方が登場する。
NPMとは、「民間企業における経営理念・ 手法、さらには成功事例などを可能なかぎり行政現場に適用することで行政部門の効率化・活性化を図ること」である。
しかしNPMにも問題点はあった。効率が重視されると、全体最適にはならないなどの弊害が生まれたのだ。
これに対して登場したのが、参加や公正といった価値が重視されるNPGだ。
行政の本来の目的とは、国民や住民の生活の質(QOL = Quality Of Life)を高めることである。
そのためには、NPMの成果を踏まえつつも、行政プロセスに利用者や国民・住民が参加し、自らの生活の管理を可能とする権限が与えられることが望ましい。
今後、地域の問題を解決するために行政機関は、多くのアクター(市民、企業、非営利セクター、メディアなど)との協働が求められる。
企業・NPOの役割
社会を良くしていく中で企業やNPOは重要な役割を担う。
行政では手の届かない問題を解決し、地域をより豊かにしうる力を持っているからだ。
自らの利益のみに固執するのではなく、行政・企業・NPOが協力して社会問題に取り組むことは、社会問題の解決に大きく寄与することだろう。
では次に、官民協力の具体的な事例として岡山県真庭市を取り上げてみる。
岡山県真庭市、官民協力の取り組み
岡山県にある真庭市は、バイオマスタウン構想というものを掲げ、「バイオマス政策課」がある。
木材製造が一番の産業であった真庭の衰退を危惧した企業が始めた活動が行政や地域に大きな影響を与えたのだ。
真庭市では行政・企業・NPO・真庭市民が協力して、主に「木質バイオマス」で地域を盛り上げている。
今ではバイオマスは公共施設や住宅に導入され、真庭のエネルギー消費の11%以上がそれによて賄われている。
この取り組みは雇用の創出やエネルギーコストの削減などの経済効果を発揮している。
もともとは民間主導で始まった取り組みを行政が予算措置も含めて後押しすことが、今の真庭の成功に繋がった。
以上からもわかるように、民間と行政の協力は市民のQOL向上や地域創生、社会問題の解決などに絶大な効果を及ぼす。
今後の公共経営は、NPGをベースに民間主体のあり方を模索していくことが大切になると言えるだろう。
共生地域社会と公共経営―市民が創る新たな公共性、地域密着型NPOの挑戦
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